2015年2月28日土曜日

元の動きに戻ることについて

フェルデンクライスのレッスンを気に入っていただいた方からよく受ける相談の一つに、受けた直後や1週間ほどは快適な動きができているけれど、その後は元の動きに戻ってしまう。どうしたら戻らないようにできるのか?というものがあります。

私も同様の経験がありますので、気持ちは良くわかります。
せっかく手に入れた快適な感じが失われ、あの感じで動きたいんだけど動けないという焦りが起こるときもあります。

色々な体験の中でなんとなくわかってきたのは、一度手に入れたものはなかなか失われないということです。時間とともに表面から動きは消えていきますが、その動きは風に吹かれて飛んでいったわけではなく、感覚の傍らに居ます。さもなければ失われたことすら気づかないことでしょう。

二つを比較できる状態は多くの学習を可能にします。レッスン前に同じ動きをしていたときと違い、レッスン直後の動きと今の動きが違うと感じることは、学習できる状況が生まれたと言えるのです。

しかし、多くの人は吟味せず、ぱっと見でダメな方を捨てようとします。「レッスン後の動きはとても快適に感じたから、今の動きは間違っているはずだ」と結論し、間違っている動きから学ぶ意欲は閉ざされます。そこで学習はストップです。

数ある選択肢の中から正解だけを残し、間違いは二度と現れないようにすることを学習と呼ぶならば、学習が進むほどに、どこか空しく、寂しい世界となるでしょう。学習の本来の姿は、生まれて広がり、豊かになっていくものです。

快適と感じた自分も、元の動きに戻すことを選択した自分も両方自分であり、それらが肯定した全てが正解です。両方の正解を見比べて更に3つめの正解を発見し、正解が増えるほどに肯定できる動きが増えます。そうするとなぜか、意識せずとも元の動きがとても快適に安定してできていたりしていて、戻っていたつもりが進んでいた、ということになるのです。